和泉式部と平安宮廷と俵万智と [ことば]
先日の演奏会で,百人一首を歌詞にした合唱曲を演奏していました.
その歌を聴きながら,そっか,百人一首って丸暗記ぎみだったけれど,実は男女の恋の駆け引きの歌が多いんだよなぁ... などと,あらためて考えていました.
めぐりあひて 見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな
(やっとお会いして,お顔を拝見したかしないかのうちに あっという間に帰ってしまわれたのですね,貴方は)
逢ひ見ての 後の心にくらぶれば 昔はものを思わざりけり
(お会いした後のこのつらさに比べれば,お会いする前の悩みなど,何も思っていなかったのと同じくらいです)
あらざらむ この世のほかの思い出に 今ひとたびの逢うこともがな
(もうすぐこの世にいられなくなる私ですから,せめてもう一度だけお会いしたいです)
※()内はうろ覚えの現代語訳です.たぶん,こんな感じだったはず.
ことばだけ見ると,実にドラマティックで大げさだけれど,たぶんに平安朝の貴族の「お遊び」が入っていたはず.いかに感動的な,いかに叙情的な歌を詠むかで競い合っていた,優雅な,まさに「駆け引き」なのです.たぶん.
こんな艶やかな歌集を,小中学生に丸暗記させるとは….なんとも,もったいないことで.
そう言えば,俵 万智さんの『チョコレート語訳 みだれ髪』(与謝野晶子の「みだれ髪」の万智流・現代語訳)もお勧めです.下の句が「うんざりしちゃうわこのオヤジには」となっている歌が好きです.こんなノリで勉強すれば,古文ってすごく楽しいと思います.
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