エンターテインメント色あふれる「ワイルド・ソウル」 [おすすめ本]
宮部みゆき氏との対談記事を読んで,この作品に興味を持ちました.
入賞の賞金目当てに投稿した,という垣根氏が,ついドキュメンタリーの方向に寄ってしまいそうなのを,エンターテインメント(ミステリー)の枠に踏みとどまった/実際にできそうなシチュエーションで(犯罪を)描くことに怖さを感じる,などと語っていたのがとても印象的だったのです.
で,読んでみたら,実に見事なエンターテインメント作品でした.「あ,ここは読者を惹くためにお色気を入れているな」とか,「ここで笑いをとろうとしているな」などのあざとさも多少感じるのですが,それはそれ,計算されたおもしろさでも面白いものです.そもそものブラジル移民の話も興味深いし,主な登場人物も個性豊かに描かれていてけっこう共感できます.ただ,女性心理はいまいちかな… と思わないでもないですが(笑).
もしかして悲惨なエンディングかな? と思っていたのですが,私の好みの感じで,よかったです.さすがフィクション! という気はしますけれど,エンターテインメント作品ならこれでよいかな,と.
分厚い本なのに途中でやめられなくなってしまうので,忙しい方にはおすすめいたしません.
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