やっぱり好きなのかも.吉本ばななの最高傑作?!『哀しい予感』文庫版 [おすすめ本]
久しぶりに吉本ばななを読みました.
彼女の作品に出てくる女の子は,だいたい私から見るとうらやましいようにすっきりした発想をしていて,自由で,優しくて可憐です.
そんなところに嫉妬することも多く,「ちょっとファンタジーすぎるよね~.現実は違うのよ,現実は」とか言いたくなってしまったり「しょせん,吉本ばななは“末っ子文学”」とかうそぶいてみたくなってしまうのですが,久々に読んで「あぁ,やっぱりすてきだな」と思ってしまいました.
主人公の弥生はすてきな家族を持っていて,自由な行動力を持っていて,憧れの弟がいて,不思議な能力を持っていて,生活は充実しているのになにか満たされない気分.
そこになんだか魅力的な叔母の存在があり,そこにしばらく滞在させてもらって… ふと「事実」に気付いてしまう.そこからぐんぐんとドラマが始まります.
だいたい,出てくるひとはたいてい良い人でそれぞれ魅力的だし,でもそれぞれ弱いところも持っているし,みんないたわり合いながらも,物語は動いていきます.でも,この作品では特に「正のエネルギー」が光っていて,最後の終わり方もとっても素敵で,「あぁ,いい物語を読んだ」と心から思えました.
やっぱり,私,吉本ばななって好きなのかも.
そんなことを思いました.
なお,文庫版は,最初に出た単行本(未完の作品,と自分で言っている)に比べてけっこう加筆されているそうなので,単行本のほうだと印象が違うのかもしれません.
「知らないほうがいいことなんて,なにもない」.という力強いメッセージに励まされました.
まあ,「それこそが真実だ」と思っているわけでもないんですけれどね.
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