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何度目かの『耳をすませば』感想 [映画]

スタジオジブリのアニメ映画『耳をすませば』をまた観ました.
私はこの映画が好きです.なにが好きって,主人公の女の子(雫ちゃん)と同じく主人公の男の子(聖司くん)が,歌とヴァイオリンで合奏する場面がとても好きなのです.弾いて,と言われていやいやながらヴァイオリンをとりあげた聖司くんが,いきなり弓をひくと流れ出る豊かな音....雫ちゃんも「オンチだから」と言いながらそれなりに歌えているのだけれど,とにかく,上手か下手かではなく,いっしょに音楽を奏でることをみんな(後から乱入?するおじいさん達も含めて)が楽しんでいる雰囲気にぐっときます.

この映画の原作は少女マンガだそうで(作者は『星と瞳のシルエット』などを描いた人),登場人物も中3の女の子(雫ちゃん),そしてちょっと気になる男の子(聖司くん),親友の女の子(ゆうこ)...と来れば「恋愛ものだな」と思うわけですが,この映画の主軸は恋愛にはなく,雫ちゃんが自分のやりたいこと(自分自身)を模索する過程にあるように思われます(そこが好き).ですから,ラスト・シーンのプロポーズなんかはまるっきり蛇足だと感じていました.

でも,今回観て,感じかたが少し変わりました.どうもこの映画では,聖司くんを徹頭徹尾「ヘンな奴」として描いているようなのです.だいたい雫ちゃんへのアプローチのしかたも大げさすぎるし,その後の手のひらを返したような態度も「あれっ?」てな感じです.そして,そのヘンさの集大成が,中3でありながらの無謀なプロポーズなのでしょう(それとも,少女マンガならではの非現実性?).
確かに,中学生のときから「ヴァイオリン作りの職人になりたい」などと言ってイタリアに(留学ではなく)修行に行ってしまうような人は,平均的な男の子ではないでしょう.ここで「ヘンな奴」というのは,かならずしもけなし言葉ではありません.世の中の芸術家(指揮者などの音楽家を含む)の大半は「ヘンな奴」なのです.周りと違ってしまうことを恐れない,自分を貫く人なのです.だから雫ちゃんが(そして視聴者が)「すごいなぁ」と思うのだと思います.

聖司くんはどうも騎士道精神にあふれた男の子に見えます.女の子は守ってあげるもの,という発想が「自転車に雫を乗せてこの坂を上る,って決めたんだ」という発言につながっているのでしょう.でも,雫ちゃんが自分でできることを示すと「そうか,頼む」と言える柔軟さも持っています.聖司くんも雫ちゃんから学ぶことが多くありそうです.この2人が将来どういう関係になっていくのかにはあまり興味はないのですが,それぞれがどのように成長していくかにはとても興味があります.


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