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千と千尋はキャバクラ嬢 [佐藤雅彦]

2006年4月に開催された,佐藤雅彦さん×茂木健一郎さんの対談「ひらめきのくらくら」の音声データ(MP3)を聴いていて,あ! と思ったことがあります.
インタビューの本題とは関係ないのですが,スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサと佐藤さんを比較したときに,茂木さんが,

「『千と千尋の神隠し』は,キャバクラの女の子が,最初は無口だけれどだんだんしゃべるのが上手になる,っていう話なんでしょ.鈴木さんが宮崎さんにそういう話をして,それで行こう,と言ってあれができた」

というようなことを言っていたのです.

あ! そうなんだ!

一瞬ぎょっとしたのですが,なるほど...と思いました.
娼婦と聖女のイメージを重ねるのは,中島みゆきの得意技です.
# 「聖女たちのララバイ」の聖女(マドンナ)も,どうも,水商売っぽい...
それはきっと,すべてを受け入れ,すべてを許す存在として,娼婦=聖女 なのだと思います.

本名(千尋)を隠して,商売用の名前(千)で接客するとか,
カオナシに優しいとこなんか,なるほど,キャバクラねぇ...と納得します.
# 実際のキャバクラに入ったことはありませんが,
# 『ワーホリ任侠伝』を読んで,なんだか納得してしまいました.

千として働いているうちに,昔の自分がどういう人間だったのかが怪しくなってきて,今の「千としての自分」が濃くなっていく.
それでも,千尋,という名前さえ覚えていれば,いつか,元の世界に帰れる.

「ここで働かせてください!」と湯屋に勤め始め,
日中は寝て,夕方以降に働く.
あれやこれやがあって,結局両親も助け出して,
「お世話になりました!」と元の世界に帰っていく.

確かに,キャバクラの世界は,いわゆる会社員の(9時~5時)生活とは別世界だ.


どうも,茂木健一郎が司会を務めているNHKの番組「プロフェッショナル」でも
鈴木敏夫プロデューサがそんな話をしたらしいですね(2006年4月放映)...これで,この裏話が全国的に認知されたのでしょうか.

千尋≒キャバ嬢?~千と千尋の神隠し~を見てその2など)

でも,それより前から,宮崎氏があれこれ書いたりしていたようですね(ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記の2004-03-14 「千と千尋」はなぜ「湯女」なのかを参照).

# この記事,けっこう面白いです.

私と同年代だと思われる,マンマーマンさんも,面白いことを書いておられます.↓

女の子を持つ親からみた『千と千尋の神隠し』

気持ち悪い...なるほどね.私もそう思ったなぁ,最初に観たとき.
とにかく,ゲェゲェ吐きながら湯屋を走り回るカオナシに嫌悪感を持ったなぁ.
...でも,ああやって,汚い部分を吐き出さないと,カオナシも元に戻れなかった
んだろうなぁ...

***

宮崎アニメでいつも気になるのですが,「宮崎走り」と呼ばれる,急坂を転げ落ちるような走り方の場面が必ずと言っていいほど用意されているのですよね(見栄えがするから?).それから,おそらく同じ理由で,飛行場面が入っている.
 「もののけ姫」でも,汚い表現(タタリ神のドロドロとか)を意図的に織り交ぜているように思いました.観ている人に嫌悪感を起こさせ,ほかの場面との対比を際立たせようとしているように思います.

一つの作品に,いろいろなしかけや思いが込められている.そういうのに気づいていくのがおもしろいです.「言われなければ気づかないような作り」は,作り手の自己満足と紙一重の危うさも感じるのですが,「気づく人は気づく」というぎりぎり感は楽しいです.


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