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「国家の品格」がなぜ不愉快なのか [my構成要素]

母が読んでみたら~,と薦めてくれた(私もちょっと気になっていた)『国家の品格』がやっと図書館から届きました.ベストセラーだけあって,予約も行列をなしているようです.

で,さっそく読んでみたのですが,...もう最初のほうから不愉快な気分がモワモワモワモワ増殖してきて,何度投げ捨てようかと思いました…が,一応最後まで読み終えました.
# いつもは,不愉快だった本については言及しないようにしているのですが,
# 今回ばかりは,自分のありようにもつながる部分なので,書かせていただきます.
# もちろん,この本を「すばらしい」と感じた人々をけなすつもりは毛頭ありません.
# 私には合わなかっただけです.あらかじめ,そのことをお断りしておきます.

著者の主張の根幹の部分には,うなずける部分もあります.が,「著者の独断と偏見を,自分勝手な論理と,論理がつながらないところは情緒で押し通している」という印象がぬぐえません.言葉を選ばずに言うと,謙虚さのない人,恥を知らない人,という印象を受けました.
本書の冒頭で,著者は,「いちばん身近なところで見ている女房に言わせると,私の話の半分は誤りと勘違い,残りの半分は誇張と大風呂敷とのことです」と述べていますが,まったくその通りだと感じました.

後のほうで,著者は,“愛国心”という言葉とそこに含まれるイデオロギーは嫌いだから,自分は“祖国愛”という言葉を使っている,と弁明していますが,最初のほうを読んでいるとき,あーこの人はナショナリストだ,安部首相の「美しい日本」と同じようなことを言っている… と思ってしまいました.
だって,「もしも私の愛する日本が世界を征服していたら,今ごろ世界中の子供たちが泣きながら日本語を勉強していたはずです.まことに残念です」などは,軽いジョークのつもりなのかもしれませんが,ちっとも笑えません.…

すべてが論理で説明できるわけではない.価値観の押しつけも重要だ.ということ自体には同意します.「ならぬものは ならぬものです」が大切な場面も確かにあります.でも,会津藩 日新館の教え「年長者の言うことにそむいてはなりませぬ」などを「非常に納得できる」などと押しつけられると,納得できない私はとても不愉快な気分になります.“教育”はまさに価値観の押しつけであるわけなのですが,私は「年長者だからといって,間違っていることは間違っている」という教育を受けてきたので,著者の価値観を押しつけられるのには我慢できません.また,「自由や平等はフィクションだ」,「命にも歴然と軽重がある」,などと述べている根拠も,実におそまつな著者の個人的意見に読めてしまいます.

本書は著者の講演記録をもとに書籍化したものだそうですが,思うに,講演ならではのおもしろおかしさと,日本を勇気づけようというリップ・サービスが相まって,このような内容になっているのだと思います.

本書がベスト・セラーになり,『…の品格』という流行語?まで生み出してしまったことに,私自身は恐ろしさを感じました.みなさん,本書にどのような感想を抱かれたのでしょうか? 反論でもなんでもけっこうですので,教えていただければ嬉しいです.


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