キレたい人におすすめ,山本周五郎『さぶ』 [おすすめ本]
最近やたらと山本周五郎にはまっている私ですが,『さぶ』ってそう言えば有名な作品だったはず….読んでみよう! ってなわけで,手にとってみました.
前にも言ったかもしれませんが,山本周五郎=やたらと教訓的な「いい話」を書く人,というイメージがあったので,この作品もどんなんかなぁ… と期待と不安半々で読んだのですが,いやあ,おもしろかったです.
主人公は「さぶ」,かと思いきや,基本的にはその友人の「栄二」なんですね.この人が,かっこいいわケンカは強いわ仕事はできるわ,というなかなか危なっかしげな活躍を見せるのが冒頭のところ.でも,ケンカ慣れしているわりには職人として地道に腕を磨き,いよいよこれからが人生の華… というところで,ぬれぎぬ? トラブル? に巻き込まれ,そこからどんどん悪くなって… という展開です.
「なにも,そこまで堕ちなくってもよさそうなもんじゃない」などと凡人の私なぞは思うわけですが,栄二は,良くも悪くもまっすぐですね.だめとなればとことん堕落していってしまうような,そんな人で.
そんな彼を周囲ではらはらしながら支えている人たちがいて.
自分だけが不幸になった気分でイラつく,すべての人に,この本をお薦めしたいです.
また,長編なのに,終わり際がとてもいいんですよ.ぜひ読んでみてください.
2008-10-21 13:57
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