キレたい人におすすめ,山本周五郎『さぶ』 [おすすめ本]
聖人君子かと思いきや,意外と親しみやすい山本周五郎『人情裏長屋』 [おすすめ本]
ぎりぎりのところで勝負する人間たち,つかこうへい『幕末純情伝』 [おすすめ本]
- 作者: つか こうへい
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1990/12
- メディア: 文庫
つかこうへい氏の作品と言えば,『蒲田行進曲』や『飛龍伝』などを読んでいましたが,描いているのはいつも,崖っぷちのようなぎりぎりのところに立って,醜さと美しさを発揮している「人間」なんですね.だいたい女性は開き直る.でもすごく一途.だいたい男性はへなへなしている.でもいざというと,体を張って勝負する.だらしなさとかっこよさを飾らずに表現していると思います.
それにすごく演劇的.小説として読んでいても,舞台上の雰囲気がぐんぐん想像されます.
この作品も,お琴や土方,山崎,服部半蔵など,みんないい味を出しています.いちばん良いのは,菊一文字を手にしたお琴.土方をぐいぐい攻めていく様子に鳥肌が立ちました.
なんかハマりだした『電脳コイル』 [おすすめ本]
電脳コイル 1 (1) (TOKUMA NOVELS Edge)
- 作者: 宮村 優子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2007/04
- メディア: 新書
昨年だったか,20代の後輩から「電脳コイル,ってアニメ,おもしろいですよ~」と薦められました.土曜夕方にNHKで放映していたので,たまたま夕方に自宅にいた日に,ちょっとテレビを点けてみました.でも,なんだか薄暗~い雰囲気で,あんまり保育園児に見せたい雰囲気でもなくて,消してしまいました.
でも,ちょっぴり「今の人の感覚についていけない私」に負い目を感じていました.
そして先日.行きつけの図書館の新刊コーナで,小説『電脳コイル 4』,『電脳コイル 5』が並んでいました.お,これは良い機会かも….とりあえず4をget.
読みながら,デンスケってこれかあ,とか,カンナさんってこうなのね,と疑問を解消しながら読んでいました.
宮部みゆきや東野圭吾とは比べ物にならない文章力…だとは思うけれど,ついつい続きが気になって,ついに第1巻から読み始めました.ヤサコとイサコ,私はイサコのほうが好きだけれど(ヤサコは一人称語りが多い分,いやなところがたくさん見えます),まあそういうふうに作っているんでしょうね.あ,いちばん好きなのはタマコさんかも(大人だから? かっこいいから?).
それにしても,マリリンマリーンとは何者なのか.それが一番の謎であり,物語を読む楽しみかもしれません.
タイトルに偽りあり? それともまんま? ともあれおすすめ『絵画で読む聖書』 [おすすめ本]
世界史をやり直したい人におすすめ『ハプスブルク一千年』 [おすすめ本]
ハプスブルク家の起こりから終焉までを,世界史のあれこれの事件と結びつけながら紹介するお気楽な読み物です.その土地土地の方言を名古屋弁でしゃべらせてみたり,下世話に表現してみたりと,最初は拒否反応が出そうだったのですが,その根底に,「こうでもしないと他国の歴史なんて読んでられないでしょう」というサービス精神があることに気付くと,とたんに気が軽くなってスイスイと読めるようになりました.
そう言えば私の高校の世界史の先生も,歴史を講談調に語ってくれる人でした….映画が大好きな先生で,歴史の話をしているかと思えば,その歴史に関連した映画のオススメ評論にいつのまにか話がずれていったりして,とにかく「この先生はこの世界が好きなんだなあ」とことあるごとに感じていました.そういう情熱って,きっと伝わるものなんですねぇ.
中丸さんって,きっと,気遣いのできるサービス精神にあふれた人なんですね.かなり軟派っぽく表現しているけれど,実際はまじめな人だったりして….
なんて思いながら読み終わりました.
ふつうの歴史書ではザセツしてしまう人に,おすすめです.
“うつ”ってどんな病気なのかを知るのに適当『うつから帰って参りました。』 [おすすめ本]
芸術とは,戦争とは,自分のホンネを聞いてみたいときにお勧め『堕落論』 [おすすめ本]
タイトルからして,なんだか非倫理的な内容の小説なのかと思っていたら,とんでもありませんでした.自分の身の回りにあるもの,起こること,それらを真摯なまなざしで見つめた結果,出てきた真実の言葉が集められているのだな,と思いました.
悟りきったような小林秀雄を「教祖の文学」と切り捨てたり,防空壕の中でワクワクした体験を語るかと思えば,原子爆弾による戦争は「効能を被害が上回る」から「もはや,戦争はやるべきではない」と断言したりと,彼の言論は自由自在に広がります.モラルのないことこそがモラルである,「堕ちる道を堕ちきることによって,自分自身を発見し,救わなければならない」等々,文面だけを見ていると,なんだか騙されているような納得のいくようないかないような微妙な感じもあるのですが,かりに主張が矛盾しているとしても,それはどれも彼の腹の底から出ている言葉だと思えます(とやかく反論すると,「人間だから,いつでもどこでも主張が首尾一貫しているわけはない.あたりまえじゃあないか」と喝破されそうです.そういう,底の据わった感じを受けます).
彼に共感したのは,「家に帰ると(だれも怒る人がいなくても)つい反省してしまう」というエピソードがあったあたりからです.なんだかよく分かるなあ,と思うのは,私が日本人だからなのでしょうか.それとも,人類全般にそういう心情があるのでしょうか.
あと,彼の文章は,読みにくいものと読みやすいものがあります(この本で言うと,冒頭の「FARCEに就て」が読みにくかったです).途中でザセツしそうになった方は,読みやすいところから読んでみることをお勧めします.
あっと驚く展開『容疑者Xの献身』 [おすすめ本]
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2008/08-056.html
ん? でも,福山さんが湯山助教授?ってことは,この作品に出てくる石神氏と同い年なの?! なんかギャップがあるんですが….